東京地方裁判所 平成10年(ワ)2802号 判決 1998年5月22日
原告
コスモ信用組合
右代表者清算人
A
右訴訟代理人弁護士
影山光太郎
鈴木伸太郎
被告
恒星建設株式会社
(不動産登記簿上の商号株式会社青木工務店)
右代表者代表取締役
B
主文
一 被告は、原告に対し、別紙物件目録≪省略≫(一)の各不動産についてなされた別紙根抵当権目録≪省略≫(一)記載の根抵当権及び別紙物件目録(二)の不動産についてなされた別紙根抵当権目録(二)記載の根抵当権につき、平成八年一月一二日を元本確定日とする根抵当権元本確定登記手続をせよ。
二 訴訟費用は、被告の負担とする。
事実及び理由
一 原告は、主文同旨の判決を求め、請求原因として次のとおり述べた。
1 原告は、別紙物件目録一記載の各不動産について別紙根抵当権目録(一)記載のとおり、別紙物件目録(二)記載の不動産について別紙根抵当権目録(二)に記載のとおり、それぞれ各根抵当権目録記載の設定者より根抵当権の設定を受けた。
なお、不動産登記簿上は、設定者(所有者)の表示が「株式会社青木工務店」となっているが、これは被告の変更前の商号である。
2 原告は、平成七年七月に実質上経営が破綻し、その破綻処理の一環として、原告臨時総代会において、平成八年一月一二日に、原告所有の一部債権を訴外社団法人東京都信用組合協会に譲渡する旨の決議及び右債権譲渡後に事業全部を訴外株式会社東京共同銀行(現商号株式会社整理回収銀行)に譲渡する旨の決議がなされた。その結果、原告は確定的に被告との間で融資取引ができなくなり、本件根抵当権の元本は同日付けをもって取引終了を原因として確定した。
3 被告は、本件不動産を所有している。
4 よって、原告は、被告に対し、本件根抵当権の元本確定登記手続を求める。
二 被告は、請求棄却の判決を求め、「請求原因第1項は知らない。ただし、被告の前商号が株式会社青木工務店であったことは認める。第2項は否認する。第3項は認める。」と述べた。
三 ≪証拠省略≫によると、請求原因第1項及び第2項の事実をいずれも認めることができる。そして、右事実によれば、原告と被告との間の取引は平成八年一月一二日付けの原告の臨時総代会の決議をもって終了し、本件根抵当権の元本が同日付けで確定したことを認めることができる。なお、被告は、本件根抵当権の被担保債権が不存在である旨主張するが、本件は根抵当権の元本確定の登記手続を求めるもので、元本確定事由の有無のみを審理すれば足り、被担保債権額の存否についてまで判断する必要がないから、本件において右の点について審理するまでもなく、元本確定事由が認められる以上、原告の請求は理由がある。
四 よって、主文のとおり判決する。
(裁判官 鬼澤友直)